ウーマは、東京・渋谷のデザイン会社です。この記事では、社内で感じたひとつの不便を、その日のうちに道具にして無料で公開するまでの話をします。
ある日の午後、ひとつ困ったことがありました。壁にプロジェクターで画面を映して、部屋を歩きながらAIと話しながら考えたい。でも、話しかけるにはキーボードの前に戻らないといけない。それだけのことが、どうにも煩わしかったのです。
その日のうちに道具を作って、無料で公開しました。ColorCue(カラーキュー)といいます。

色を見せると、AIに音声入力ができる

カメラが色の目印を見ています。青いペンを上げると聞き始め、話し終えて「はい」と言うと、その言葉が、いま開いているアプリの入力欄にそのまま入って送られます。
Claude でも、ChatGPT でも、メールでも、検索窓でも構いません。「前面にあるアプリに文字を入れて Enter を押す」だけの道具なので、相手を選びません。
操作は、3つだけです



色は自分で決められます。青でも緑でも、紫でも水色でも構いません。避けるのは肌に近い色だけです。オレンジや赤を選ぶと、顔ごと同じ色だと判断されて、まったく動かなくなります。これは実際に2回やらかしました。
なぜ「色」なのか

最初は、声で始める仕組みを考えました。呼びかけたら聞き始める、というものです。作りかけて、やめました。
呼びかけを待つには、その一言を聞き逃さないために、マイクを開けたままにしておく必要があります。独り言も、電話も、打ち合わせも、その間ずっと拾われます。便利さと引き換えに、部屋の音を常に差し出すことになる。
色なら、見せたときだけ聞きます。合図を出すまで、何も聞いていません。手を挙げるという動作が、そのままスイッチになる。この一点のために、カメラを使っています。
必要なものは、これだけ

ノートパソコンがあれば始められます。専用の機械もリモコンも要りません。登録も契約もありません。
コードは1行も手で書いていません
ここからが、本当に書きたかったことです。
この道具は、「こうしたい」と喋って、それが形になって、見て、また喋る。その繰り返しで出来ました。いわゆるバイブコーディングです。実際の進み方は、こんな具合でした。
- 「壁に映して、歩きながら喋りたい」と言う → 動くものが出てくる
- 「これでは全部の音を拾ってしまう」と言う → 色を上げている間だけ聞く形に変わる
- 「長い文章だと途中で切れる」と言う → 原因が特定されて直る
- 「ロゴを作ろう」と言う → 案が3つ出て、選んだものが形になる
途中で何度も方向を戻しました。要らないと判断した機能は、その場で丸ごと消しました。止めるのも戻すのも、喋るだけで済みます。結果として1日で、動く道具と、ロゴと、セットアップページと、公開リポジトリまで揃いました。
「まあいいか」が、減った
言いたいのは「AIはすごい」ではありません。作るまでの距離が、はっきり短くなったという話です。
これまでは、小さな不便を感じても先に進みませんでした。仕様を書いて、見積もって、誰かに頼んで、何週間か待つ。そこまでの手間を思えば、たいていは「まあいいか」で終わります。
その「まあいいか」が減っています。思いついた不便を、その日のうちに試せる。違ったら捨てられる。捨てるコストが小さいので、変なアイデアも試せます。今回の「色を見せたら聞き始める」も、冷静に考えれば変な発想です。でも試せるから試した。そして使えるものになりました。
業務の中の小さな不便は、たいてい放置されています。大きなシステムを入れるほどではないけれど、毎日少しずつ時間を削っている類のものです。そこにこそ、1日で作れる道具が効きます。
使い方と中身は、GitHubに全部置いてあります
ダウンロードして、色のついたペンを用意すれば動きます。Mac と Windows の両方に対応しています。
作り方も中身も全部公開しているので、自分のところで作り変えてもらって構いません。
デザインとAIの、いちばん先を自分たちで試しています
ウーマは2000年創業のデザイン会社です。ロゴやブランドの世界観を作りながら、出てきたばかりのAIの使い方を、自社のデザイン業務と、自社で経営するネイルサロンで毎日試しています。この記事の道具も、思いついたその日に作って公開しました。
人から聞いた話ではなく、自分たちで動かして確かめたものだけをお渡ししています。デザインとAIの両方を、同じ場所で相談できます。
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