こんにちは、藤井華丸です。
今日は、u-ma.jp のトップに入った15秒の映像が、どうやってできたかを記録しておきます。
先に言ってしまうと、この映像は、キーフレームを一つも打たずにできています。
はじまりは「黒い背景のゲーム」
最初に私がAIに頼んだのは、映像の話ではありませんでした。
- 黒い背景/シンプルでフーツラ系の小さな文字。/グラフィックデザイナー用のゲームを作りたい
そこから、図形を重ねる、色を混ぜる、黄金比や白銀比、ジャンプ率を当てる――そんなデザイナー向けのパズルができていきました。私は「これはU-MAのファーストビューに入れたい」と思い、白地の版をつくってもらい、そのあと「これはよいので、2ndビューにとっておきましょう」と決めました。
そして空いたファーストビューについて、私はこう書きました。
- topのFVはプロンプトモーションでかっこよく仕上げましょう!
以前は、タイムラインにキーフレームを打っていた
これまで、こうした映像は After Effects でつくるのがふつうでした。タイムラインの上で、文字が動き出す位置、止まる位置、大きさ、透明度……ひとつひとつにキーフレームを打ち、カーブを整え、書き出して、確認して、また直す。
今回は、その作業がありません。手本にしたのは Prompt Motion のショーリールのプロンプトです。動きはすべて、Claude(Anthropic のAI)と日本語でやりとりしながら、コードで組みました。
映像ファイルではなく「コード」なので、とても軽く済みます。参考用に書き出したMP4は約17MBですが、サイトで実際に動いているプログラムは約44KB。画面の大きさに合わせてその場で描くので、どんな画面でもくっきり動きます。
キーフレームの代わりにあるのは、言葉です。「2026ではなく2027に」「もっと小さく」「あと2秒」。私の一言が、そのまま次の版になります。
AIは指示どおりに作る。それでもNGが出る
ここが、この記事でいちばん書いておきたいところです。
AIは、言われたとおりに作ります。速いし、疲れないし、何度でも作り直します。でも、私はなかなかOKを出しませんでした。AIが最初に出してきたファーストビューへの、私の返事はこうです。
- かなりイメージと違います。(白地のパズル版に対して)
- これはヒドイですね。ぜんぜん良くないです(最初の6秒の映像に対して)
- 初心者がプロンプトいじっただけのものはNGです
指示どおりにはできていました。でも、イメージどおりではなかった。デザインの現場では、それはNGです。
デザイナーの目とは「ダメ出し」のことだ、と私は思っています。AIがどれだけ速く作っても、何がダメなのかを見抜き、どこへ向かえばいいかを言える人がいなければ、プロジェクトは前に進みません。
私が実際に入れた指示
では、私は具体的にどんな言葉で直していったのか。このやりとりに残っている言葉を、そのまま並べます。
1. イメージを渡す
- トランジションはダイナミックに、背景もすべて、しっかりハイグレードデザインです
- まず、これを見て!(Prompt Motion のショーリールを指して)
- 画面を覆う、ダイナミックなラインアート
- ダイナミックな有機的な動きをするもの、重くなりすぎない程度にパーティクル(参考画面5枚と一緒に)
2. 違うものは、違うと言う
- UMAのオフィシャルロゴがあるのですが、あなたがつくったものは微妙に違って良くないんです(このあと私が公式ロゴのデータを渡し、映像の中のロゴはすべて公式のものになりました)
- まず、全体が短すぎる
- 重いのはNGです
- 納品物はMP4ではない事は理解していますか?
3. 細部を、数字と場所で直す
- 「2026」が気になりました/2027にしましょう
- SPEED, QUALITY and SURPRISE ! も印象的に見せたい(のちに「あまり目立たなかった」)
- Click me !はもっと小さく/50%くらい
- さいごの ロゴ完成シーンはあと2秒たしましょう/全体の長さを変えずに
- WEB GRAPHIC MUSIC MOVIE SNS/AI バイブコーディング アプリなども英語で入れて!
- 「SCROLL DOWN」は、赤丸のすぐ下に小さく配置してください
- 一番最初のフレームには、スクロールダウンは不要ですよ!
4. 良いものを、見逃さない
- 赤い小さな丸が白い画面にはいっているのが印象的です
この一言で、映像の最初と最後は「白い画面に、赤い丸がひとつ」になりました。クリックすると再生がはじまり、最後はまた赤い丸に戻ります。
並べてみると、指示には型があります。まずイメージを渡す。違えば、違うと言う。細部は、数字と場所で言う。良いものは、良いと言う。的確な修正指示とは、AIへの命令ではなく、デザイナーの頭の中にある絵を、言葉に置き換えることなのだと思います。
公式ロゴのデータを、そのまま動かす
私がAIに渡した公式ロゴのSVGデータには、完成形のロゴのほかに、U・M・A・クリップがばらばらの部品として入っていました。「あなたがアニメーションを創るときの素材としてお渡しした」と伝えました。
そこで、映像の中のロゴは、この部品をそのまま動かしています。一本の赤い線が「!」になり、倒れて、クリップを描き、最後に公式ロゴに切り替わる。ロゴの形を描き直していないので、1ミリも崩れません。
GitHubのしくみ ― WordPressを開かずに、サイトが変わる
もうひとつ、私が求めたのは「いちいちWPの固定画面を更新するのが煩わしい」という悩みの解決でした。そこで使っているのが GitHub です。
GitHub は、コードを置いておく「倉庫」です。倉庫の中には、試しに直すための作業用の場所(ブランチ)と、本番用のmain があります。AIはいくらでも作業用の場所で直せますが、main に入れるのは、私のメッセージに「GO」が入ったときだけ。これは、私がAIと決めているルールです。
main に入ったプログラムは、GitHub Pages というしくみで、自動的にインターネットに公開されます。WordPress の固定ページに入っているのは、それを読みに行くための、たった2行です。
<div id="uma-hero"></div>
<script src="(GitHub Pages に公開されたプログラムのURL)" defer></script>この2行は一度入れたら、もう触りません。映像を直すたびに WordPress を開く必要はなく、「GO」の一言で u-ma.jp のトップが変わります。
2026年10月の今、ここまでできる
私は、バックエンドの専門家でも、プログラマーでもありません。コードは一行も書いていません。それでも、
- クリックで再生する、15秒のモーショングラフィックス
- 約1,400個の粒が、言葉ごとに形を変える場面
- 公式ロゴのデータを崩さずに動かすアニメーション
- スマホでもなめらかに動く軽さ
- WordPressを開かずに本番を更新するしくみ
- 同じコードから書き出した、インスタ用の縦長動画
ここまでが、AIとのやりとりだけでできました。2026年10月の今、AIを使えば、バックエンドやコーディングを知らなくてもここまでできます。
ただし、それは「AIに頼めば、誰でもできる」という意味ではありません。AIが何度作り直しても、どれをNGにし、どれを残すかを決めたのは、私の目でした。
あなたのプロジェクトを成功させるのは、AIを使えるデザイナーだ。
デザイナーの厳しい目で、プロジェクトに最適なクリエイティブをイメージするブレインが必要なのだ。
私は、そう信じています。
藤井華丸(U-MA代表・アートディレクター)
Related Posts
2026/09/20
キーボードの前に座らないと、AIと話せない。その不便を、1日で道具にしました
壁に映して歩きながらAIと話したい。でもキーボードの前に戻らないと話せない。その不便を、その日のうちに道具にして公開しました。色を見せると音声入力が始まる…
2026/08/31
強みは既に日々のデータの中にある。ウーマが提案する、AI活用の仕組み
AIで記事を自動化しても、問い合わせが増えない会社は多い。デザイン会社ウーマが、日々のLINEのやり取りをRAGでデータ化し、記事とサチコ分析を通じて顧客と現場


