阪神タイガースとウルフルケイスケのコラボレーションTシャツをデザインしました。

与件:かねてより阪神タイガースのファンであることを公言していたウルフルケイスケ氏。阪神タイガースとのオフィシャルコラボレーションTシャツを作成しライブ会場で販売する事がきまっていました。

野球ファンが好むようなスポーティなデザインではなく、ロック色の強いミュージシャンTシャツとしてデザインして欲しいというオファー。ライブ開催までスケジュールがタイトな中、デザインをすすめていきました。

Creative Direction

ロックとスポーツの融合Tシャツ。「ならでは」のデザインをすすめたいと思いめぐらせている間に、阪神タイガースの応援歌として有名な「六甲おろし」が頭に浮かび「ロック・オー・おろし」というジョークが生まれました。

concept
こういうジョークが許されるアーティストである事と、関西ノリが表現されてたタイトル。さっそくラフを作成し、エージェントを通じて阪神タイガースサイドにデザイン確認を打診したところ問題無いという返答をいただきました。デザインのインスピレーションとしては、ロックポスターで有名なフィルモアのデザインをサンプリングし、ロックスタンダードなデザインを目指しました。

Photo Shooting

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グラフィック中央にアーティスト本人をレイアウトしたく、撮影を行いました。ツアー中にもかかわらず時間を作りすぐに撮影。トレードマークであるテンガロンハットとスーツ、そしてテレキャスターを弊社撮影スタジオ(ウーマスタジオ)へお越し頂き白バックで数ポーズを撮影しました。

Photo_CR撮影データはBridgeとPhotoshopで加工、ハイコントラストのモノクロームにデジタル処理をしてデザイン化しやすいように準備をすすめます。布へのプリントではシルク版を作るためビットマップデータでは入稿できず全てをベクター化する必要があります。

Graphic Design

ここからは根気です。タイトな時間の中でどこまでデザインの精度を上げていけるか。ハイコントラストとはいえフォトリアルなイメージにしたかったのでシャドウのひとつひとつを丁寧に拾っていきます。光の方向を考えながら、平面の中に光を彫刻していくイメージです。trace_small

デザインに必要な部分を丁寧にベクターパスでトレースしていきます。CS3あたりから画像トレースでパス化する機能がありますが、かなり雑な仕上がりになりますのでここは人間の目と手でひとつづつ追いかけていきます。

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このような、時間のかかる地味な作業は、デザインが進み出すと後戻りするのが難しいのですが、クリエイティブディレクションの段階でクライアント+制作スタッフのチームが意識を共有していればストレス無くデザインをすすめる事ができます。クリエイティブディレクションは本当に大切で、クライアントとの信頼関係や対話の構築は全作業の90%であると言うことが出来ます。実作業に関してはあとでいくらでもチューニングできますが、コンセプトは実作業がはじまってしまうとチューニングできません。制作進行中にデザインが後戻りしないためにも初期オリエンへの理解度、コンセプトの抽出、そしてラフデザインでの意識統一は本当に重要で、ウーマのデザインスタッフが一番時間をかけているパートです。

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ビンテージ楽器の持つシズル感をどこまで表現するか。機械的に全てをトレースしてもごちゃごちゃするだけですし、弦やピックアップなどの金属部分に直線を使うとドライな印象になってしまいます。作業量は膨大になりますが、アイレベルやレンズのゆがみ、被写体との間にある空気感をイメージしながら、ひとつひとつ丁寧に手作業でイメージを作り出していきます。

フィニッシュ

グラフィックパーツができあがれば、ロゴ素材とあわせてレイアウトしていきます。タイガースとのコラボレーションTシャツなので、オフィシャルロゴを目立たせるように大きく上に配置、配色は球団カラーを使用して一目見てコンセプトが伝わるシンプルなデザインにしました。

 

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おかげさまで「ライブ会場で、このデザインのTシャツが完売した」との報告いただいております。Facebookやtwitterなどでも、デザインがかっこいい!と会場を訪れた皆様にも好意的に評価いただいております。

このようにウーマでは、クライアント与件からオリエン後のデザイン作業、入稿形態にあわせたデータ作成、そしてユーザー評価までを一貫してクリエイティブしております。